公益社団法人 十日町青年会議所
第60代理事長
馬場 大和
十日町タクシー株式会社

スローガン
えにし
〜今に感謝し、伝統の襷を次世代へ〜

基本理念
笑顔と希望が織りなす、誇らしい地域の創造

理事長所信

【はじめに】
 この地に1957年5月15日、国内で115番目、県内では3番目の青年会議所として、26名の青年が十日町青年会議所(以下、十日町JC)を立ち上げました。明るい豊かな社会を築くために、仲間を集いながら、様々な活動やまちづくりを行ってまいりました。創立以来59年もの長きに亘り、青年会議所活動を繋いでこられました先輩諸氏へ尊敬と感謝の念を表します。
 私たちが生活する十日町市と津南町を含む妻有地域の人口は年々減少し、現在では約6万5千人となりました。人口減少に伴い過疎化も加速度的に進むこともあり、非常に深刻な問題となりますが、それに加えて平成26年の統計で60歳以上の人口比率が、十日町市は43.9%、津南町は47.5%と超高齢化地域でもあります。また、この比率を押し上げている一因となっているのが、今後の社会構造の根底を支える役割を担う子どもの減少、出生数の低下による少子化です。これらの要因によって、この地域の活気がだんだんと失われつつあります。また、産業構造の変化に起因する雇用機会の減少や地域医療体制問題、この地域の主要産業である農業の担い手不足等と諸問題が積み重なっています。これらの問題は、この地域だけではなく日本国内の多くの地域に当てはまるのですが、この地域では明るい話題も多くあります。昨年の大地の芸術祭では、国内外問わず多くの方々がこの地域に訪れて、今までにない交流人口の増加があり、その多くの方々がこの地域の魅力に触れることが出来たと思います。そして、この地域に惚れ込んで移住をされてこられた方も多くいます。また、2020年東京オリンピックの聖火台の図案に火焔型土器を提案、十日町市の市民文化ホール新設や津南町の雪冷熱を活用したデータセンター整備も予定されています。
 多くの希望と問題を抱えている地域に住まう若者として、地域を盛り上げるために、率先して行動しなければなりません。「JCしかない時代から、JCもある時代へ」と既に一昔前に言われていた文句ですが、これには更に拍車がかかっているのは否めません。確かに多くの団体がまちづくりに対して様々な視点を持って活発に活動をしており、盛り上がりを見せています。だからと言って十日町JCの意義が失われた訳ではありません。志のある青年が集う学び舎であり、「修練・奉仕・友情」の3信条を通して培われるJAYCEEとしての誇りと情熱があり、入会すると多くの先輩諸氏と業種や役職を超えて交流の機会が持てること、更に県内や国内、そして海外との繋がりもあります。このように多くの学びや志、そして機会のある青年会議所活動です。多くの機会を得るために率先して行動し、積極的に自らの成長を図りながら、一緒に明るい豊かな社会を築きあげましょう。

【地域の魅力を磨き上げる 〜繋〜】
 地方創生として「まち・ひと・しごと」という言葉が使われます。これは日本が抱えている人口急減・超高齢化という大きな課題に対して政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的な社会を創生することが目的とされています。その中では、東京への人口一極集中の歯止めをかける狙いがあり、地域課題の解決や若年層の結婚子育て支援も含まれます。このことは、地方においては良い機会と捉えて、より多くの人からこの地域を認知してもらい、触れ合う機会を作り出すことが重要です。
 そして、この妻有地域には住民や来訪された人の心を惹きつける多くの魅力があります。国宝火焔型土器を始めに、悠久なる大河信濃川や四季によって表情を変える棚田や河岸段丘、そして大地の芸術祭には様々な地域から来訪者があります。
 しかしながら、私たちはその魅力ある資源について胸を張って素晴らしいと言い切れるでしょうか。来訪者がこの地域を素晴らしいと思う感情と私たち住人の感情が乖離しているのは、生活環境が異なるので当然なのですが、来訪者の感情に寄り添い、その心情を理解出来ているでしょうか。
 まずは郷土愛を育みながら、地域の今ある資源に誇りを持ち、一つ一つを磨き上げていかなければなりません。しかし、十日町JCだけで磨き上げるのは限界があります。行政や多くの団体と繋がることにより、この地域を盛り上げる形を創造します。それによりこの地域への新しい人の流れを生み出す活動をします。また、活動を通して地域の抱えている問題にも触れて、その解決方法を検討、模索し、新たな投げかけを行います。

【子どもと大人の関係 〜絆〜】
 毎日日替わりで報道される子どもを取り巻く凄惨な事件。私が幼い頃の印象では、そのような事件は日本ではあまり発生しないと考えていました。それは私の認識が甘かったのかもしれません。しかしながら日本独自の精神性を鑑みれば、ここまで日常が一変する様な事件が発生することは少ないのではないかと考えます。
 近年では私たちの生活基盤となる家庭の形が核家族となる傾向にあり、家族同士で関わる時間が減少したことで、大人が子どもに対する接し方の変化が要因の一つと考えます。昔のように大家族で、父親が働き、母親が家庭を守り、祖父母と兄弟が幼い子どもの面倒を見るという生活様式は少なくなり、共働きや晩婚、兄弟のいない子どもが多くなりました。また、個人の意識にも変化があり、良く言えば個人主義なのですが、協調性が低く、繋がりが薄く、無責任だと感じることがあります。親との繋がりが薄く、笑顔が少ない家庭で育った子どもが無関心や無気力になり、引き籠る傾向にあるかと思います。昔の日本独自の家庭環境が全て良い訳ではないですが、少なくとも親が子どもへ躾と心配りを教える関係であり、厳しくも優しい繋がりがあったはずです。
 継続事業のわんぱく相撲を通して、心技体を鍛えながら礼儀を学ぶことによって子どもの成長へと繋げます。子どもは親の映し鏡と言われますが、そのまわりにいる大人も様々な形で関わることによって映りこみます。子どもを見守る私たちも礼儀を重んじ、責任のある行動によって子どもの見本とならなければなりません。
 また、公職選挙法の一部改正する法律が成立し、18歳から選挙権という権利を持つこととなりました。権利を持つと同時に責任も背負うことになります。時代の変化にさらされる子どもを大人が責任を持って導く必要があります。親子でしっかりと向き合いながら、同じ問題を考える時間を共有し、絆を深めます。

【あの日を忘れない 〜繰〜】
 2004年10月23日中越地震が発災した日、私は十日町市にいませんでした。発災2日後に帰郷すると、いつもの風景が一変し、道路や山が崩落しており、自宅が半壊と認定された衝撃は今でも忘れられません。只々災害復旧のために日々を過ごしていたのですが、ボランティアの方々から多くの物資や人的支援をいただき、感謝の念を抱くと共に自分の無力さを感じていました。また、人は過去に衝撃を受けても時間の経過と共に忘れてしまいます。あれだけの衝撃を受けながら、自宅で防災対策をしているかと振り返れば、ほとんどしていません。
 災害の経験を語り継ぐと共に風化させないために、関係各所との連携の確認や防災に対する啓発運動を繰り返し行わなければなりません。天災を防ぐことはできませんが、被害を最小限に抑える準備といざという際の心構えを醸成します。

【会員拡大は必然 〜継〜】
 青年会議所として活動を行えるのは、20歳から40歳という青年経済人として世代交代や事業継承を控えた一番の重要な時期です。この時期に多くの学びを得て、様々な人との繋がりを持つことにより、個人の成長や企業の発展に繋がります。
 しかしながら昨今の経済状況や経済活動の変化、また少子化によって全国的に青年会議所の会員数は減少傾向にあります。これは青年会議所だけではなく、様々な他団体も同じように減少傾向かと思います。
 その中でも我々が多くの仲間と一体感を持ちながら切磋琢磨し、溌剌と活動することで必ず多くの仲間が集まる雰囲気となります。
 また、59年という長きに亘り、連綿と続いてきた十日町JCの歴史を多くの仲間に継承しなければなりません。来年に控えた60周年に向けて着実に準備を進めることも必要ですが、その過程で過去の歴史を紐解き、先輩諸氏の積み重ねた軌跡を学びます。その学びを生かして、今まで以上に魅力的な十日町JCとなるように取り組みます。

【会員の資質向上と連携強化 〜結〜】
 昨年度に引き続き、本年度も多くの会員が卒業することとなります。また、入会年度の浅い会員が多くなり、今まで積み重ねられてきた歴史や伝統、そして十日町JCとして培われた心持ちを伝えられる会員も少なくなりつつあります。
 まずは、JAYCEEとしての使命や目的を理解することにより、活動する意義を明確にして、同じ方向へ邁進することが出来れば、自ずと強い繋がりによって素晴らしい組織になります。しかしながら、ただ同調するのではなく会議の場においては「和して同ぜず」と協調性を持ちながらも、個人の意見を貫き通す情熱も必要です。
 また、伝統の雪まつりコミュニティひろばも新たな可能性を模索しながら、仲間同士の修練と連携強化を図ります。予算の縮小等で検討事項は多くありますが、先輩諸氏が築いてきたコミュニティひろばに対しての気概や想いを紐解きながら、笑顔とおもてなしのあふれる、来訪者が心から来て良かったと思える形を会員同士が膝を突き合わせながら、時間を共有して考えることにより、2016年度を一緒に活動する仲間との繋がりを深めます。
 会員数が少なくなったことを悲観するのではなく前向きにとらえると、会員一人一人の距離が近くなりました。人数が多いと誰かがやるだろうと無関心な考えになりがちですが、全員が連携して責任感を持ちながら一致団結して活動します。

【結びに】
 今、この地で生活していることは仕合せです。この地で生まれながらにいる人、様々な経緯でこの地に根付いた人。いずれにせよ自ら決断してこの地域で生活をしているはずです。そして、誰もが妻有地域の魅力を誇りに感じながらも、更に住みやすくなることを望んでいます。私たちJAYCEEが情熱を持って地域の発展を願い、行動を起こすことが私たちの活動の全てです。
 また、私たちの組織は単年度制で毎年役割を交代しながら活動をしています。役職に任命されたから今年は頑張るということではなく、会員全員が活動を行うことに対して責任があり、一人一人が主役です。様々な活動を通して、共に苦労や達成感を経験しながら心を紡いで、素晴らしい組織としていきましょう。

執行部メンバー
直前理事長 大島 博  大島電気株式会社
副理事長  井沢 元博 井沢塗装
副理事長  田村 祐昌 株式会社田村自動車
副理事長  金子 義勝 株式会社カネコ商会
専務理事  遠田 憲嗣 有限会社遠田設備

〒948-0088 新潟県十日町市駅通り17番地 十日町商工会議所内
TEL.025-757-5111 FAX.025-752-7332
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